「やばい、どうしよう。来週提出だって~」
娘が困った顔をしていました。
高専では、2年生の途中からコースが分かれます。
機械、電気電子、情報、化学系、建築デザイン。
その中から、そろそろ希望を出さなければいけない。
娘が気になっているのは、建築デザインでした。
「なんで建築デザインに興味あるの?」
そう聞くと、
「え~、だって模型つくるの楽しそうじゃん」
……あかん。
この子、もしかして大きな勘違いをしている。
どうやら先輩の教室に展示してあった建物の模型を見て、ワクワクしたらしい。
まあ、直感を信じるのも悪くない。
でも親としては、もう少し筋道が欲しくなる。
昔から娘は、副教科の成績が良い子でした。
家庭科、音楽、技術、美術はずっと5。
口をとんがらせて、何かに夢中になっている。
そんな姿を家でもよく見てきました。
だから建築デザインも悪くない気はする。
ただ、
「これがやりたい!」
と背中を押せる何かが、もう少し欲しい。
そんなことを考えていたある日、高専から通知が届きました。
「4年生を対象にした就職フェア開催」
その他の学年も参加OK。
見た瞬間、ピンときました。
コースを決める前に、逆から見せてみたらどうだろう。
「どのコースにする?」
ではなく、
「その先には、どんな仕事がある?」
を先に見てみる。
娘に言ってみました。
「行ってみない?」
「え~、やだよ。あれって先輩が行くやつだよ~」
そりゃそうです。
そこで、自分の経験を話しました。
私も大学3年生のとき、初めて就職フェアに行った。
やる気のある人たちや会場の雰囲気に圧倒されて、パンフレットだけもらって帰ったことがあります。
「就職するか進学するかはまだ分からないけど、いざ本番になってビビるより、1年生の今、一回だけ練習で行ってみるのも経験になるんじゃない?」
「当日は一緒に行くから」
娘はしぶしぶ、OKしてくれました。
たぶん帰りに何か美味しいものを食べるつもりだったのでしょう。
週末。
親子で就職フェアに出陣しました。
入口で参加企業の一覧をもらい、いざ会場へ。
……と思ったら、
「ちょっと休憩スペースで作戦会議しよう」
娘から提案。
ちょっとビビったらしい。
まあ、確かに。
やみくもに回るより、そのほうがいい。
2人で企業一覧を眺めました。
建築系。
機械系。
情報系。
そして、私にはもう一つ気になることがありました。
家から通うか。
それとも、県外に出るか。
娘は昔から、
「家から出たくない」
と言っていました。
就職するのか、進学するのかもまだ分からない。
それでも、
「一人暮らしはしたくない」
ここだけは何度も言っていました。
今日は地元の企業も、県外の大手企業も来ている。
せっかくだから、直接話を聞いてみてほしい。
コースと勤務地。
この2つの軸から、まずは2社に絞りました。
地元の建築会社と、県外の大手メーカー。
最低でも、この2社を比べてみよう。
会場に入ると、スーツ姿の若者たちが歩き回っていました。
不安そうな顔の上に、希望の仮面をつけて。
「ああ、この雰囲気だ」
大学生の頃の記憶がよみがえりました。
「この雰囲気、分かる? げー出るよな~」
娘に聞いてみる。
でも、娘が気にしていたのは別のことでした。
「1年生って私しかいないよね?」
「場違いじゃない?」
確かに。
制服姿の1年生は、どう見ても少数派でした。
「その他の学年も参加OK」は、建前だったのかもしれない。
でも、来たからには2社は行ってみたい。
「今回は練習だから。軽い気持ちで行こう」
そう言って、娘とブースを探しました。
歩いていると、長い列ができているブースもありました。
大手の情報系企業です。
パソコンで「人気企業」と検索して出てくる数字ではなく、
実際に説明を聞こうと並んでいる人たち。
説明している社員さん。
会場の空気。
こういうものも見ておいてほしいと思いました。
一社目は、地元の建築会社。
働く人の負担を減らす取り組みに力を入れていることを説明していました。
娘はちょこんと一人、制服姿で座って話を聞いています。
その姿を横から見ていたら、
なんだか急に、遠くへ行ってしまうような気がしました。
まだ1年生なのに。
ちょっと寂しい。
二社目は、全国的にも知られている大手メーカー。
「エントリーシートを出してください」
と言われました。
「1年生なので、まだ持ってないんです」
すると、
「1年生なのに就職フェアに来てるの、すごいね~」
と声をかけてもらいました。
娘も、ちょっと嬉しそう。
ここでは、入社後の研修やサポート体制についての説明が印象に残ったようです。
帰り道、
「研修中は先輩がついていて、研修後は希望の部署に行けるんだって!」
と、明るい声で話していました。
そして、娘に少し変化がありました。
それまで、
「一人暮らしはしたくない」
と言っていたのに、
「県外でもいいかも」
と言い始めたのです。
……そっちか。
建築デザインを選ぶために連れてきたつもりだったのに、広がったのは勤務地のほうでした。
父親としては、ちょっと寂しい。
でもまあ、
家から出たくないと言っていた娘が、自分から「県外でもいいかも」と言った。
それだけでも、来た意味はあったのかもしれません。
そして、肝心のコース選択。
夏休み前、娘は自分で、
「建築デザインコース」
を選びました。
先日、初めて授業でつくった模型を持って帰ってきました。
窓の大きな家。
作品の説明が書かれた紙には、たくさんの丸いシールが貼ってありました。
どうやら娘、
模型づくりは、本当に得意らしい。
こんな家族との日常を、毎週書いています。
また読みに来てもらえたら嬉しいです😊
子ども本人ではなく、やり方のほうを変えてみた話はこちら👇
息子とのこんな試行錯誤を、一冊にまとめました。
『息子をかえるの、やめてみた。』






世界を広げてあげるのがほんとうまい!いつも感心させられます😌
自分も高専卒ですが、
うちは入学と同時に学科が決まるタイプだったので、
こんなにちゃんと将来を考えて選んだ記憶がないです
事前調査というより、
「とりあえず偏差値いちばん高いところで」
くらいの雑な意思決定でした笑
でも、先に「その先にどんな仕事があるか」を見てから選べるのはいいですね
建築デザイン、
ものづくりが好きなら普通に楽しそうだし、
高専の中では女子も比較的少なくないので、
その意味でもけっこういい選択肢な気がします
まあ、男子高専生目線だと、
最後の情報だけで第一志望にする人も出てきそうですが笑