【課外実験】「なんか面白そう」で応募したら、綾瀬はるかと目が合った。
人生は、思いつきが景色を変えることがある。
1か月伸ばしたヒゲ、5分で終了
暑い夏の日、わたしはメイク室にいた。
撮影本番の日、指定された場所に行くと部屋の中に大きなテントが張ってあった。
近くのハンガーには白衣や警察官の制服などが並んでいる。
おお~、これが撮影現場の雰囲気か~。
しばらくするとメイクさんがやって来た。
合格メールには
「髪とヒゲはできるだけ切らないでください」
と書かれていた。
その結果、
私は1か月かけて立派な、怪しいおじさんになっていた。
しかし撮影当日。
メイクさんは私を見るなり、
「少しおヒゲ切りますね」
1か月の努力は5分で終了した。
ほどよくさっぱりした所で撮影場所に移動する。
妻の運転で息子も一緒に指定された場所へ車を走らせた。
現地に付くと控室に案内され、妻と息子はそこで別れた。
丁度お昼だったのでご飯を食べるそうだ。
控室という別世界
控室につくと看護師役の女性が一人。
患者役ですと挨拶すると、その方はベテランエキストラの方らしく、
荷物はね、鍵付きのロッカーに入れときな、楽屋荒らしがいるからねとアドバイスを受けた。
待っている間にも、このドラマにも出た事がある、
あの映画はこうだったと過去のエキストラ経験の話を聞いた。
エキストラの世界にも経験や出演作品で序列があるのだろうか?
そんな事を考えていると、いよいよ現場が騒がしくなってきた。
患者のリアクションは、お任せします
しばらくしてADの方に呼ばれて撮影現場に入る。
椅子が置いてあり、私は座ってのシーンのようだ。
やった!オーディションで座って勝ち取った甲斐があった。
隣で立たされている看護師役の女性はきつそうだ。
かなり長い間、カメラの位置や音声マイクのチェックなどがされていた。
そして助監督から撮影シーンの説明があった。
主人公たちが特別病棟の廊下を通って病室に入る、その廊下にいる看護師と患者。
看護師が患者に話しかける。
「〇〇さん、あちらでみんなとお話でもしませんか?」
患者のリアクションはお任せします。
えっ!
丸投げ?
私に演技プランを考えろとおっしゃるんですか?
……。
頭の中のハムスターもフリーズした。
その静けさだけは今でも覚えている。
「では一度カメラテスト行きましょうか?」
セリフが消えた
いきなりリハーサルが始まる。
看護師役に「何さんとお呼びしましょうか?」と言われたので、
「田中でお願いします」とっさに出てきた偽名だった。
そしてリハーサル。
看護師は緊張の為か、かなりカチカチの演技だった。
セリフも早口で正直、ちょっと落ち着きなされと思った。
しかし相手が緊張していると逆にリラックスしてきた。
色んな反応パターンを試す。
「あっちでお話しませんか?」
「んぅん?おん」
「あっちでお話しませんか?」
「あぅあ~」
なかなかOKが出ない。
10テイクくらいやって助監督から一言
「セリフは無しで話しかけるふりだけにしましょう」
せっかく考えた演技プランが消えた。
と言いたいところだが、
そもそも大したプランではなかった。
結局、私はわずかにうなずく演技のみとなった。
このわずかな動きに全神経を集中するぞと意気込んでいると
「入られまーす」と声がした。
パジャマ姿で綾瀬はるか
一瞬で現場の空気が変わるのが分かった。
ぱっと声の方をみると
「あ、あ、綾瀬はるか!?」
テレビの中の人だー!
その瞬間、頭が真っ白になる。
そして──
恥ずかしい!
パジャマ姿を綾瀬はるかに見られている!
さっきまでは患者の演技がどうとか考えていた。
全部飛んだ。
そんなことより私は今、
パジャマ姿で綾瀬はるかの前にいる。
人生でこんな負け方があるだろうか。
いや、恥ずかしいと言うより現実感が一瞬消えた。
どうせならパリッと決めた格好で会いたかった。
彼女は私の横を通り過ぎる時にすっとこちらに目を落とした。
やばっ!目が合っちゃった。
役柄のせいか、少し冷たい目線にも見えた。
もちろん、そう見えただけかもしれない。
流石、プロの役作りは違う、と思いたい。
そして撮影が始まり、私の前を歩く綾瀬はるか、もう演技どころではない。
オーディションの時と同じく、1点を見つめ微動だにしない私。
数テイク撮影し、「カッート!はい、オッケーでーす」
撮影は一瞬で終わった。
演技をする間もなく、私の役者人生は幕を閉じた。
興奮する妻と抜け殻の私
ロッカーから荷物を出し、帰ろうと階段を上がると妻と息子にばったり会った。
「あれ?もう終わった?」
のんきな妻に私は、ぼそぼそ言う
「たぶん、あやせはるかだった」
「ん?だれ?」
「俺たぶん、綾瀬はるかに会った」
「えっ!まじで!うそー!!」
興奮する妻と抜け殻の私。
「面白そう」の先にあった景色
今、思い出すとあれは夢だったのかと思う。
でも綾瀬はるかは、
たぶん私を一瞬見た。
それだけは紛れもない真実で、
たまに思い出しては
「く~!」
となる。
もともとは
「なんか面白そう」
それだけで応募した。
オーディションでは椅子取りゲームをした。
撮影ではパジャマ姿で綾瀬はるかと目が合った。
あの日、「なんか面白そう」と思って応募しなければ、この景色を見ることはなかった。
人生は、思いつきが景色を変えることがある。
あの日から私は、「面白そう」と思ったら、少しだけ飛び込んでみるようになった。
また、思いもよらない景色が待っているかもしれない。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
私はこんな感じで、思いつきで始めた実験や挑戦の記録を書いています。
また次の実験結果も読んでいただけると嬉しいです。
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ピーさん、面白かったですッッ🔥✨
恐らく、大勢の方が綾瀬さんに驚くと思います。しかしながら、かつおは違いますよ。やはり、一番の印象は『田中』です。
これは、ワタクシメに対するメッセージではないのかと。
いやー、田中はいいですよね。すぐ書けるし、漢字を真ん中で折り曲げても、形がぴったり重なる。素晴らしい名前です。
その状況で、よく田中が出てきたなと興奮しております。
で、何の話でしたっけ??
#綾瀬さんは学生時代、『花王🌙』というあだ名だったそうです
ピートンさん🤩名演技お疲れさまでした!見知らぬ世界に飛び込むと、思いもよらない可能性を秘めているのですね!その勇気に乾杯です🥂
綾瀬はるかさん、お肌ツルツルでしたか?😍