「ジャー」
「あっ!流しちゃった!」
無意識でトイレの「流す(大)」レバーをクイッと操作した瞬間、私は頭の片隅で自問する。
「……いいのか?」
私は食品メーカーに勤務しているので、数か月に一度、検便検査がある。
だから、普通の人より検便をする機会が多い。
そして、これが微妙にストレスなのだ。
トイレを流した直後になって、
「待てよ。今って、検便を取らなくてよかったっけ?」
と思う。
その瞬間、
脳内ジェットコースターが発車する。
「検便……今月だった?」
頭の中に、会社の掲示板が現れる。
休憩室の近く。
白い紙。
提出期限。
……あれ?
いつまでだった?
脳が、記憶の中をさらにさかのぼる。
確か、先週見た。
いや、先々週か?
あの掲示物には何て書いてあった?
「今月末まで?」
いや。
……
「あ、まだ期間あるわ」
到着。
ホッ。
たった数秒の出来事だ。
でも、その数秒間。
私は家のトイレから、記憶の中にある会社の掲示板まで旅行している。
しかも、目的地は検便の提出期限が書いてある掲示物。
……旅行先としては、かなり地味だ。
でも、考えてみると脳って面白い。
「しまった!」
と思った瞬間、普段は気にもしていないことを、急に必死で探し始める。
掲示物はどこにあったか。
いつ見たか。
何て書いてあったか。
そんなことを、ほんの数秒で探している。
普段なら意識することもない記憶なのに、必要になった瞬間に、頭の中から引っ張り出してくる。
そう考えると、頭の中では、こんな小さな旅行が何度も起きているのかもしれない。
そして最近、会社で検便期間の掲示物を見るたびに思う。
「次の目的地は……あれか?」
ただの掲示物だったものが、少し違って見えるようになった。
そして今日もまた。
「ジャー」
「あっ!」
脳内ジェットコースターが発車する。
次の目的地は、どこだろう。
…
できれば、検便以外でお願いしたい。
家庭の小さな実験を、これからも書いていきます。
よかったら登録してください。
我が家には、他人の体温を避ける男もいます。






ピーさん、おはようございます😊
次は検尿の旅じゃないことを祈るばかりです🙏
ピートンさん、共感します😆
わかりやすくテンポのよい、ジェットコースターのような文章に、またドキドキしてしまいました。🎢
「頭の中では、こんな小さな旅行が何度も起きているのかもしれない」という一文から、「脳内トリップ」という言葉が浮かびました✈️
毎日は、小さな旅の連続なのかもしれませんね☺️
でも、次の目的地は検便以外がいいですね😂